日本の介護福祉現場の現状と課題
―介護保険制度の変遷と人材の育成と確保の視点から―
小林 毅(日本医療科学大学)
このような貴重な機会をいただきました呂暁彤先生、また、中日研究協会のみなさまに感謝申し上げます。
日本では、超高齢化社会と言われるように、高齢者の人口が増加する一方、その他の年齢の人口が減少し、高齢者を支える仕組みを持続するという視点が重要になってきています。それまでは高齢者に対しては「老人福祉法・老人福祉法」という福祉の政策や医療で対応してきました。しかし、介護を必要とする高齢者の増加、その介護が長期になること、一方で核家族化や介護する介護者も高齢化になるなど環境が大きく変化してきました。その中で、2000年には、「自立支援」「利用者本位」「社会保険方式」を基本的な考えとして、介護保険制度が導入されました。
介護保険制度から20年が経過した現在、増加する高齢者人口の課題とともに、高齢者を介護する人材不足が大きく取り上げられてきています。今回は、この「介護の人材不足、その育成や確保」といった点に目を向けて、この間の介護保険の意図やその変遷と直面している介護の人材不足に対しての「生産性向上」の取組について話題を提供し、日本での介護の人材不足とその対応から、今後に予想できる中国での課題について、一緒に考えることができれるようにしたいと思います。