2022年研究大会

 2022年研究大会は、424()オンラインで開催しました。参加者は会員及び一般の計61名を数えました。呂会長の挨拶の後、在日中国大使館教育部の胡志平公使参事官が来賓として挨拶くださいました。胡参事官は、ご挨拶の中で、現在の中国の新しい学校教育の「課程標準」(日本の学習指導要領に相当)について、その改訂の背景と方向性を紹介してくださいました。特に、中国教育部が現在行っている「双減」(子どもの学びにかかる学校の宿題と学校外の習いことの負担を減らすこと)の教育改革下での、幼小連携に関する我が学会の取り組む今年の研究課題への期待と研究大会の意義について述べられました。続いて、文部科学省中央教育審議会「幼児教育と小学校教育の架け橋プログラム」特別委員会座長の無藤隆先生により「幼児教育と小学校教育の接続:架け橋プログラムの目指すもの」と題した基調講演をいただきました。基調講演の主旨を受けて、劉郷英会員の「日本における保幼小連携の政策と取り組み」と小山容子会員の「日本における幼小連携の実践と課題」の二人の主題発表がありました。午後の研究大会では、5名の会員による自由研究発表がありました。

胡志平公使参事官の来賓挨拶

基調講演

 学会の今年の研究主題は幼小連携に関する研究課題であるため、今回の研究大会は、文部科学省中央教育審議会「幼児教育と小学校教育の架け橋プログラム」特別委員会座長の無藤隆先生による基調講演を依頼し、「幼児教育と小学校教育の接続:架け橋プログラムの目指すもの」と題した基調講演を行ってくださいました。

 無藤隆先生は、日本質的心理学会理事長、日本発達心理学会理事長、文部科学省中央教育審議会教育課程部会長、内閣府子ども・子育て会議会長などを経て、現在、国立教育政策研究所上級フェロー、日本乳幼児教育・保育養成学会理事長、白梅学園大学名誉教授の職務を務められています。

 

 幼小連携について、無藤隆先生はご講演の中で、現在、日本が行っている「幼児教育と小学校教育の架け橋プログラム」を企画した背景や指針、現在の課題、実際に進めるべき方策の方向、及び「架け橋プログラム」の特徴を紹介してくださいました。



主題発表

 基調講演の主旨を受け、2名の会員による保幼小連携に関する内容の主題発表がありました。1名は幼児教育の専門家である福山市立大学の劉郷英先生による「日本における保幼小連携の政策と取り組み」と題した主題発表と、もう1名は同じく幼児教育の専門家である創価大学の小山容子先生による「日本における幼小連携の実践と課題」と題した主題発表がありました。

 

 劉会員の主題発表は、日本の保幼小連携政策幕開けの背景や、2000年代以降の日本の保幼小連携の取り組みの動向、及び今後の課題といった内容でした。小山会員の主題発表は、「泥んこ遊び」と「動物園作り」及び「虫かごをつくる」といった幼児の実践活動から、幼小連携の可能性と課題を述べられた内容でした。


自由研究発表

 今年の自由研究発表は、最初、7名の申込者がいましたが、コロナ感染対応の影響で最終的には5名となりました。天津大学の楊 衛芳会員は「民衆の心と人類観―周恩来総理の対日民間交流の要因分析を中心に」、創価大学の鈴木詞雄・岩間愛智・星原 律・董芳勝・長島明純会員による共同研究は「中日両国の教育の認識に関する比較研究-数学科『同課異講』を通して」、海南大学の佟 占新会員は「1950年代における道徳教育をめぐる論争の特徴教育課程審議会の議論を中心に」、慶応義塾大学の王 傑会員は「コロナ禍が日本の留学生教育に何をもたらしたか―2度の中国人留学生リモートインタビューから」、広島大学・北京師範大学の劉 幸会員は「長田新の中国講演(1942)に関する歴史学的考察」といったテーマの自由研究発表がありました。

 自由研究発表の資料は、こちらです。



2022年度会員総会

 研究大会の後、今年度の会員総会を行いました。研究大会の56名会員参加者と、25名の委任状提出者を合わせ、計81名会員が参加しました。会員の半数以上の参加者となり、会則に定める総会の規準を満たしたことから、司会者から会員総会の開催を宣言しました。会長の挨拶後、李剣会員・兼事務次長の議長就任が承認され、議長のもと、10項の議案を諮り、全会一致で全ての議案が承認されました。これからの学会活動は、これらの議案に関わる活動や事項をもとに行っていくこととなりました。最後に、鄭副会長の閉会のことばをもって、今年度の会員総会を終えました。